葬の世界は多種多彩!?世界のちょっと変わった葬儀やお墓をのぞいてみませんか?

葬の世界は多種多彩!?世界のちょっと変わった葬儀やお墓をのぞいてみませんか?

日本でお葬式やお墓というと、厳かなイメージがありますが、世界に目を向けてみると色鮮やかでユニークな一面もたくさん見えてきます。

2022年10月1日から12月4日まで、神奈川県立地球市民かながわプラザ(あーすぷらざ)で開催されている「葬の彩り展」では、さまざまな国・地域・宗教・民族によって異なる“世界の葬”に触れることができます。

今回、この企画展を企画した公益社団法人青年海外協力協会の真鍋靖子さんに、その魅力を伺いました。

目次

凝り固まった価値観を、世界の葬でほぐす

終活が広く知られるようになった昨今ですが、それでも普段の生活の中で、お葬式の話題で盛り上がるということはあまりないですよね?

しかし、それでは自分の生活で見えていることしかわからず「価値観が固まってしまうのではないか?」と感じたという真鍋さん。

「例えば、職場の仲間にお葬式について尋ねてみると、一人ひとりで全然違うんです。なのに皆、自分が体験したお葬式こそが、本物のお葬式だと考えてしまうんです」

お葬式は地域や宗教によっても違います。知り合いの中だけでもこんなに違うなら、「世界に目を向けたらどうなるんだろう?」そんな疑問から、この企画展「葬の彩り展」が生まれました。

会場には、国立民族学博物館(大阪府吹田市)所蔵の資料をはじめ、世界のお墓に関するパネル資料など合計40点が並びます。

国立民族学博物館にはたくさんの学術資料が保管されていますが、すべてが展示されているわけではありません。中には倉庫の中で保管されているものもあります。今回はそういった、普段では目にすることができないような貴重な資料も多数展示されています。

故人を象徴するガーナのオーダー棺

今回の展示の中でも、ひときわ目立つのが巨大なライオンの棺です。

木製のもので長さは259㎝、高さ140㎝という大きさです。背中が開いて遺体を納めるのですが、なんと内側はショッキングピンク。残念ながら展示中に棺の中までは見ることはできませんが、注意深く見ると、ふたの隙間、ライオンの背中に少しピンクの布がはみ出ているのがわかるそうです。また、ライオンだけでなく、巨大なビール瓶の形をした棺もあります。

これらはガーナ共和国で実際に使われている棺で、生前の職業や好きなものを形にしています。まるで芸術作品のような棺は決して安いものではありません。それでも「立派な棺に入りたいから、がんばって働く」というように、棺が仕事へのモチベーションにもつながっているそうです。

墓標に愚痴も書いちゃう、ルーマニアの墓標

カラフルな彩りと不思議な形で目を引くのがルーマニアの墓標です。高さは大人の背丈くらいあります。

このお墓の面白さは、そのデザインや色彩もさることながら、墓標に刻まれた詩です。

例えば「この人はあまり役に立たなかった」「妻を3人めとったけれど、どれもダメだった」など、「こんなことを書いちゃっても良いの?」とびっくりするような言葉が刻まれていることもあるそうです。

「個人の思いなので解釈は難しいですが、ポジティブなことやきれいごとばかりが書かれているわけではありません」と真鍋さん。書かれた文章は、本人が望んで書いたものと、残された人が書いたもののが混在していますが、お墓から、より真実に近い故人の人柄や人生が垣間見えます。

このほか、紙のお金やサンダルなど供養物や、遺体を包む布などの展示もあります。お金はあの世に持っていけるもので、ありえないくらい高額な紙幣もあるとか。また、日本からも、沖縄の遺骨を入れる壺が展示されています。

今、現在進行形で生きている葬の文化

当初、企画していた時はシニア層の来館が多いと考えていたそうですが、小さなお子さんもたくさん訪れているそうです。

展示の説明には難しい漢字も使われているので、小さな子どもも楽しめるように、クイズ形式で楽しめるシートも用意しました。「この形のものがあったら教えてね」と展示品のシルエットを印刷したシートを渡すと、子どもたちも真剣に探してくれます。

また、写真映えするため、若者たちが訪れることも多いそう。一部の展示品を除いてはすべて撮影も可能なので、皆さんお気に入りの展示物と一緒にスマホで撮影したりして楽しんでいます。

さらに、館内では映画の上映会も開催しています(スケジュールは要確認です)。

『禁じられた遊び』(1952年 監督:ルネ・クレマン)や、『ガンジスに還る』(2016年監督:シュバシシュ・ブティヤニ)、『おみおくりの作法』(2013年 監督:ウベルト・パゾリーニ)など、葬をテーマに、今回の企画展にもふさわしい作品が並んでいます。

日本ではお葬式というとどうしても暗い印象がありますが、この企画展を通じて真鍋さんは、「世界の多彩な葬のあり方を見ていると、日本の葬もただ白黒ではないことに気づいた」と言います。

巨大な棺も、ユニークな墓標も、展示されているのは古いものではなく比較的新しいものばかり。まさに、現在進行形の葬の文化です。終活を始める前に、世界の葬の文化に触れてみるのも面白いかもしれませんね。

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