税制改正に伴う生前贈与のルールの見直しのポイント

相続税対策の手法としてよく使われるのは、「生前贈与」「不動産の取得」「生命保険の非課税枠の活用」の3つです。

生前贈与については、受贈者に贈与税がかからないよう、「贈与税の基礎控除」「贈与税の配偶者控除」「住宅取得資金贈与の非課税制度」「教育資金の一括贈与の非課税制度」「結婚、子育て資金の一括贈与の非課税制度」など、一定額の贈与までは非課税となるさまざまな特例を使って行うことが一般的です。

2023年度税制改正では、生前贈与のルールの見直しが行われ、「相続税対策にどのように影響してくるの?」とのお問い合わせが増えています。

今回は、税制改正に伴う生前贈与のルールの見直しのポイントを整理してみたいと思います。

目次

暦年贈与の持ち戻し対象期間の見直し

相続税対策の手法としてよく使われるのは、「生前贈与」「不動産の取得」「生命保険の活用」の3つです。今回は、そのうちの1つ「生前贈与」についてお話したいと思います。

相続税対策を考える場合の生前贈与は、受贈者に贈与税がかからないよう、「贈与税の基礎控除」「贈与税の配偶者控除」「住宅取得資金贈与の非課税制度」「教育資金の一括贈与の非課税制度」「結婚、子育て資金の一括贈与の非課税制度」など、一定額の贈与までは非課税となるさまざまな特例を使って行うことが一般的です。

中でも最もシンプルでよく使われているのが、「1月1日から12月31日までの間に贈与を受けた金額が110万円(基礎控除額)以下であれば贈与税が発生しない」という制度を使った「暦年贈与」です。

暦年贈与には、「相続開始前3年以内に相続人または受遺者に対して行った贈与は、相続財産に持ち戻した上で、相続税を計算する」というルールがあります。

2022年末に発表された税制改正により、このルールが見直され、持ち戻しの対象期間が「相続開始前3年以内」から「相続開始前7年以内」に延長されることになりました。

2024年1月1日以降の贈与が対象となり、相続税の計算上、具体的な影響が出始めるのは2027年1月1日以降の相続から。

その後、段階的に対象期間が延長され、完全に「相続開始前7年以内」が対象期間となるのは、2031年1月1日以降の相続からです。今まで以上に早めのタイミングで、贈与を行っていく必要があります。また、

使い勝手が向上!相続時精算課税制度の見直しのポイント

一方、今回の税制改正で使い勝手が良くなるのが、「相続時精算課税制度」です。

相続時精算課税制度は、60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子や孫へ贈与を行う場合に、2,500万円までの贈与であれば、贈与税が非課税になるという制度です。

贈与額が2,500万円を超える場合は、超過分に対して、一律20%の贈与税がかかります。相続発生の際には、この制度を使って贈与した財産の全額を相続財産に持ち戻し、相続税を計算します。

いったん相続時精算課税制度を選択すると、同じ人からの贈与について、暦年贈与を行うことができず、110万円以下の贈与でも、その都度、贈与税の申告が必要になるなど、使い勝手が悪い面があり、これまであまり活用されていませんでした。

今回の税制改正により、2024年1月1日以降、相続時精算課税にも基礎控除額が設けられ、年間110万円までの贈与であれば、贈与税の申告が不要となりました。

基礎控除分の贈与財産は、相続税の計算の際、相続財産に持ち戻す必要はありません。今後は、相続時精算課税制度を使った生前贈与が増えると予想しています。

まとめ

2023年度の税制改正では、「暦年贈与の持ち戻し対象期間の延長」「相続時精算課税制度の基礎控除の創設」を軸とする生前贈与のルールの見直しが行われました。

変更点をしっかり把握し、今後の相続税対策に活かしていくことが重要です。

シニアと家族の相談室は、相続税対策をお考えの皆様に、相続に詳しい税理士の紹介を行っています。ぜひおお気軽にお問い合わせください。

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