「生命保険の死亡保険金は受取人の固有の財産となり、原則、遺産分割協議の対象とならない」という点に着目した相続トラブル防止対策や、「死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となるが、『500万円×法定相続人の数』の非課税枠が設けられている」という点に着目した相続税対策は、よく知られています。
しかし、実際に生命保険に加入する場合は、本当に狙った効果が得られる保険かどうか、保険の種類や契約形態を十分に検証する必要があります。
生命保険の種類
まずは、生命保険の種類について。生命保険は、「定期保険」「養老保険」「終身保険」という3つ種類に分けることができます。
定期保険
定期保険は、保険期間に必ず期限があります。解約返戻金のない掛け捨てタイプも多く、保険料は比較的割安。保険期間における大きな保障の実現を目的としています。
しかし、相続対策を目的とする生命保険としては不向きです。なぜなら、保険期間を経過してしまうと、死亡保険金は1円も出なくなってしまうからです。
養老保険
養老保険は、満期までの一定期間の死亡保障と貯蓄機能を兼ね備えた保険です。
被保険者が生存した状態で満期を迎えれば、死亡保険金と同額の満期返戻金を受け取ることができますが、こちらも相続対策を目的とする生命保険としては不向きであるといえます。
被保険者が満期よりも長生きした場合、満期返戻金は被保険者に支払われるため、遺産分割協議の対象となってしまうからです。
終身保険
終身保険はどうでしょうか?
終身保険は、被保険者の一生涯にわたって保障が継続するのが特徴で満期はありません。被保険者が何歳で亡くなっても保険金受取人は、まとまった死亡保険金を受け取ることができます。ここが大きなポイントです。
実際、相続対策を目的としてよく活用される生命保険は、一時払い終身保険というタイプの保険です。保険料は毎月支払うのではなく、契約時に一括で支払います。
生命保険の契約形態
次に、契約形態について。相続対策を考える場合、被相続人を契約者兼被保険者、相続人を保険金受取人として契約します。
また、相続人の中で誰を受取人にするかということも重要です。配偶者が自宅を、子供が金融資産を相続することを想定した場合、配偶者を受取人にすることで、配偶者の老後資金の不安を軽減することができます。
一方、二次相続対策を考え、子供に不動産など多くの財産を相続させる場合、相続税の納税資金確保の観点から、子供を受取人とした方が良いでしょう。こうした判断は、さまざまな論点から検証し、総合的に行う必要があります。
まとめ
生命保険を活用した相続対策を考える場合、保険の種類や契約形態を十分に吟味した上で加入することが重要です。狙った効果をしっかり得るためには、信頼できるファイナンシャルプランナーにご相談されることをお勧めします。シニアと家族の相談室では、相続に精通したファイナンシャルプランナーをご紹介可能です。どうぞお気軽にご相談ください。