10年で葬儀費用はどう変わった?お葬式全国調査で見る、葬儀費用の変化

10年で葬儀費用はどう変わった?お葬式全国調査で見る、葬儀費用の変化

一昔前までは、葬儀費用といえば「高額だけど詳細がわからない」といった、不透明なものとして扱われてきました。しかし最近では多くの葬儀社で費用について情報を発信していますし、事前に見積りを出すことも普通に行われるようになりました。では、葬儀費用そのものは時代と共にどう変化しているのでしょうか?

今回は、2013年の第1回調査から2022年の第5回調査まで、鎌倉新書で調査を続けてきた「お葬式に関する全国調査」から、およそ10年間で葬儀費用がどのように変化してきたかについてお伝えします。

目次

直近の10年で葬儀の平均価格は大きく下落

葬儀費用の平均の推移

葬儀にかかる費用の平均の推移を見ると、2013年から2015年にやや下がってからしばらくは横ばいの状態が続いていましたが、2022年の調査では67.8万円と2020年調査の119.2万円と比べ大幅に下がっています。

お葬式の費用の見方

ここで簡単にお葬式の費用の見方について説明します。

お葬式にかかる費用は大きく分けて、葬儀費用、飲食費、そして返礼品と3つに分けることができます。

葬儀費用というのは、葬儀式場の使用料や祭壇の費用など、お葬式そのものにかかる費用と考えてよいでしょう。セレモニースタッフなど人件費も葬儀費用に含まれます。

次に、飲食費は通夜振る舞いや精進落としなど、親族や参列者に振る舞う費用。そして返礼品というのは参列者にお渡しする香典返しなどの費用です。

飲食費、返礼品はあわせて接待費用ということもありますが、参列者の人数が多いと増えますし、参列者数が少ないと減ります。

定額の葬儀が増えて葬儀費用が下がった、2013年から2015年

鎌倉新書での調査開始以来、葬儀費用の平均は2013年から2015年にかけて、下がっていますが、その後2020年までは大きな変化はありませんでした。飲食費、返礼品の費用も同様です。

「お葬式に関する全国調査」では調査の対象者が「過去2年半以内に葬儀をしている方」なので、2013年調査の結果は2011年ころから2013年、2015年調査の結果は2013年から2015年の葬儀を反映しています。つまり、2013年前後を境に葬儀費用を大きく下げる要因があったと考えられます。

この当時は、2009年の週刊朝日の連載から「終活」という言葉が使われ始めるようになり、2012年には新語・流行語大賞でトップテン入りを果たすというように、終活が世の中に浸透し始めた時期でもあります。

同時に、葬儀の業界では2009年ころからインターネットを中心に始まった、葬儀料金の低価格化、全国統一化が徐々に進みました。そして2014年にはインターネットで低価格の火葬式を中心に展開していた葬儀紹介サービスを大手冠婚葬祭互助会が買収。また、同様に大手流通会社が始めた低価格の火葬式を行うサービスが分社化し、独立しています。

こうした動きに合わせ、葬儀社各社でも低価格のプランを用意し、自社のホームページなどでも展開し始めました。こうした動きが、葬儀費用の変化につながったのかもしれません。

2020年から2022年の変化は、コロナ禍が影響か?

さて、2015年に下がった葬儀費用の平均は、その後しばらくは大きな変化もなく120万年弱で推移していました。

そんな葬儀費用が大きく変化したのが2022年の調査です。この調査では2020年3月以降に葬儀を行った人を対象に調査をしているため、コロナ禍の葬儀の実態が色濃く反映されているのがわかります。

2019年に発生した新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、2020年以降日本でも緊急事態宣言が発令されるなどさまざまな対策がとられてきました。

葬儀でも、参列者を大幅に制限したり、通夜振る舞いなど飲食も極力控えるようになりました。以前からも参列者数の減少傾向はありましたが、コロナ禍では都道府県をまたいでの移動も控えられたため、これまで以上に参列者数の減少に拍車がかかったと言えます。

参列者数の推移

参列者がいないのであれば、葬儀式場もそれほど広い必要はありませんし、祭壇も大きく飾る必要はありません。家族葬や火葬式といった規模が小さく、一般葬などと比べて費用も抑えられる葬儀が増加しました。

葬儀のかたちは家族葬が主流に

2020年の調査と比較しても、ほぼ半数を占めていた一般葬が約半分の25.9%に減少。これまでの調査でも最も少ない割合です。代わりに家族葬は55.7%、直葬・火葬式は11.4%と、どちらも過去最高の割合となっています。

事前相談の増加も葬儀費用を抑える要因か?

葬儀社を決めるまでにかかった時間

葬儀費用の平均価格からこの10年の変化について、鎌倉新書の「お葬式に関する全国調査」調査結果をもとにまとめました。直近の調査結果(2022年)ではコロナ禍の影響が大きく葬儀費用にも反映されているのがわかります。

しかし、今回の調査ではもうひとつ、終活の影響と思われる変化も起こっています。それが葬儀社の決定までにかかる時間です。

葬儀社選びと言えば、これまでは家族が亡くなった直後、病院などで急いで調べて数時間のうちに決定するケースが大半でした。

大切な人を失った喪主は心の負担が大きい中、時間の余裕もなく葬儀社を選び、葬儀の内容を決めていかなければならないため、冷静な判断がしづらいといったことも言われていました。

ところが、2022年の調査では葬儀社を「生前に故人と決めていた」という割合は39.9%と約4割に達しています。前回、2020年の調査結果、28.1%からも大幅に増加しています。

終活イコール葬儀の準備というわけではありませんが、亡くなった後のことについて生前から意識を向ける人が増えたことも、葬儀費用平均の変化に影響を及ぼしているのかもしれません。

調査概要

調査名:「第1回お葬式に関する全国調査」(2013年)
調査期間:2013年11月11日~11月14日(4日間)
調査対象:全国の40歳以上の男女で、直近2年半以内に葬儀の運営に携わった方
調査方法:インターネット調査(調査協力:株式会社ネオマーケティング )
有効回答数 :1,847件

調査名:「第2回お葬式に関する全国調査」(2015年)
調査期間:2015年12月2日~12月14日
調査対象:直近2年半以内に葬儀を行った(携わった)経験のある、日本全国の40歳以上の男女
調査方法:インターネット調査(調査協力:株式会社ネオマーケティング )
有効回答数:1,851件

調査名:「第3回お葬式に関する全国調査」(2017年)
調査期間:2017年10月24日(火)〜2017年10月26日(木)
調査対象:直近2年以内に葬儀を行った(携わった)経験のある、日本全国の40歳以上の男女
調査方法:インターネット調査(調査協力:株式会社ネオマーケティング )
有効回答数:1999件

調査名:「第4回お葬式に関する全国調査」(2020年)
調査対象:直近2年半以内に葬儀を行った(携わった)経験のある、日本全国の40歳以上の男女
調査期間:2020年2月26日(水)~2020年2月28日(金)
調査方法:インターネット調査 (調査協力:株式会社クロス・マーケティング)
有効回答数:2,000件

調査名:「第5回お葬式に関する全国調査」(2022年)
調査対象:2020年3月~2022年3月に喪主(または喪主に準ずる立場)を経験したことのある、日本全国の40歳以上の男女
調査期間:2022年3月11日(金)~3月13日(日)
調査方法:インターネット調査(調査協力:株式会社クロス・マーケティング)
有効回答数:1,955件

  • 本アンケートは「いい葬儀」の利用者ではなく、日本全国の消費者を対象に行っています。
  • グラフの数値は四捨五入しているため、合計で100%にならない場合がございます。
  • 当調査データの無断転載を禁じます。すべての著作権は株式会社鎌倉新書または情報提供者に帰属します。
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