【セミナー講師インタビュー】死後事務委任契約で不安を解決?事故物件の専門家が教える、孤独死対策

死後事務委任契約で不安を解決?事故物件の専門家が教える、孤独死対策

単身世帯の増加やコロナ禍でのコミュニケーション不足など、さまざまな要因で起こる孤独死や自殺。お一人暮らしの方の身の回りに潜む危険に対して、どのような対策があるのでしょうか。今回は、事故物件のスペシャリストである、株式会社マークス不動産代表取締役の花原浩二さんにお話を伺いました。

目次

不動産の可能性を追求し世の中のお困りごとを解決

“成仏不動産”という名前を初めて目にした時、とても衝撃的でした。御社の設立の経緯について教えていただけますか?

事故物件を扱うというと、「少し変わった人なんじゃないかな?」と思われることもあるので、セミナーなどでも自己紹介は少し丁寧にさせていただいているんです。

出身は兵庫県の豊岡市です。1995年、高校3年生の時に阪神淡路大震災があり、その後の大学4年間というのは震災の復興の4年間でした。

多くの建物が倒壊したり、知り合いの家族が亡くなるのを目の当たりにした私にとって、当時一番大事だったのは「地震に負けない家を造る」こと。大学卒業後は、鉄骨系のハウスメーカーに就職し、「ひとつの家を建てるということは、ひとつの家族の命を救うことなんだ」と、そんな思いで家を販売してきました。

そして、2011年東日本大震災の年に神戸から横浜に転勤し、分譲住宅の販売事業を行っていたのですが、一方で私の故郷では過疎化が進んでいました。新卒のころにお客様に購入していただいた「命を守るために建てた家」が空き家になっている現状を前に、「自分は空き家を造ってきたのではないか?」という感覚に陥るようになりました。

そんな風にもやもやしている時に、父が亡くなりました。その時のお坊さんが「親の人生の最後の仕事は、命には限りがあること、そして残された命をどう生きるかということが大切だということを、死をもって残された家族に教えること」とおっしゃられたのです。

これを聞いて「空き家を造っている場合じゃないな」と、立ち上げたのがマークス不動産です。

当社の企業理念は「世のために。人のために。」としています。後何年生きられるかわからないけれど、残りの人生をすべて、世の中の役に立つことに振り切ってしまおうと。そう決意してこの企業理念にたどり着きました。

では、どうやって世の中のために、人のために役に立つのか?というと、不動産を扱ってきた経験があるので、「不動産の可能性を追求し世の中の困りごとを解決する」というビジョンを掲げています。

事故物件だけを扱う不動産屋さんというわけではないんですね

“成仏不動産”という名前のインパクトが強くて、「成仏不動産の会社」と思われている方も多いのですが、それ以外にも、いろいろな事業を行っています。枠組みでいうと「総合不動産業」です。

事故物件の専門家として、お亡くなりになった後の空き家の売却だけでなく、生前対策や相続対策としてお困りごとを解決する“おまもり不動産”。

負動産というように売れない不動産を専門家を派遣して建築できる富動産にしますという“負動産の総合病院”事業。

日本の不動産を海外へとインバウンド事業をしたり、リモートで不動産売却できる仕組みを作ったり、離婚後に不動産の売却で困っている方を助ける“中立不動産”などもやっています。

住環境の改善が孤独死の予防に

事故物件を誇れる世界にしたいと伺いましたが、具体的にどのようなことをされていくのでしょう?

まず、マーケットをしっかり構築することです。

事故物件に正式な定義はありませんが、一般的には事件で亡くなった物件、火災で亡くなった物件、孤独死の発見が遅れ、特殊な薬剤や技術で臭いを除去する特殊清掃が必要な物件などが事故物件と言われています。

「事故物件が嫌」という方の考え方は、なかなか変えることができないと思うのです。ですので、事故物件を許容できる方を増やす活動を模索することが大切です。

そのような方たちと事故物件とをおつなぎして、さらにその実績をどんどん発表していくことが、結果として事故物件に対する印象を変えることにもつながるのではないかと思っています。

御社では、事故物件はどのくらい扱っているのでしょうか?

ひと月に100件くらい、事故物件のご相談をいただいています。そのうち4割くらいが孤独死の現場です。

孤独死が多い印象がありますが、予防する方法はあるのでしょうか?

孤独死が発生する現場には、ある特徴があります。

ひとつはゴミ屋敷。片付けが苦手なところからスタートして、ゴミが増えだすと途中から止まらなくなって、だんだんと生きる気力が失われていくのかもしれません。ゴミ屋敷とまでは行かなくても、物が多くて散らかっているというケースも本当に多いです。

さらに水回りが汚い家。壁がカビで黒くなっている家も多いです。

数多くの現場を見てきたから言えることですが、命を大切にすることと人生を豊かにすることが大切です。人生を豊かにするためにまずは環境を整えましょう。住環境の改善が孤独死の予防につながると思います。

部屋がきれいになれば孤独死の予防にもつながるということですね

孤独死が起きやすい方程式があることはわかっています。だからこそ環境を変えることによって、その方程式を崩していく。

例えば、ご家族や親戚など人とのコミュニケーションがとりやすい所に引っ越しをする。施設でも入居者同士で普段から会話ができるというように、コミュニケーションがとれるところに引っ越すのが理想です。

住まいを引っ越すのが難しければ、今の住宅を変えてみましょう。

例えば壁紙。薄暗い色をちょっと明るくするだけで気持ちが明るくなります。また水回りが汚れていたり、古くなったり、寒いということもあるでしょう。リノベーションをするなり、水回りの交換なども検討してみてください。

ハウスクリーニングも数万円単位でできますので、毎年とまではいかなくても2、3年に1回はクリーニングを入れてほこりやカビの発生しにくい環境を整えていく。収納を増やすなど、ちょっと工夫するだけで家が片付いたりもします。

引っ越しやリノベーションなど、費用はかかりそうですね

これらのことにはお金もかかりますが、お金を節約する方法もあります。

賃貸の場合、よくあるのは、電車をあまり利用しないのに駅の近くに住んでいるケースです。駅から離れることで不動産の価値も変わってきます。むしろ駅に近いより、病院に近い方が住みやすいなんてこともあります。

もし賃料が節約できる可能性があるのであれば、検討してみてはいかがでしょうか。子供が大きくなって出ていった後、家をスケールダウンできないかと考えるのも一つの方法です。

また不動産を持っていらっしゃる場合は、リースバックなどもあります。引っ越しせず住み慣れた家に住んだまま不動産を売却できます。

さらに、土地があれば敷地の一部を売却する、または貸し出すということもあります。免許を返納して空いている駐車場を月極駐車場として貸し出して資金を作る方法もあります。

日頃から誰かと連絡を取り合うなど、生前対策を

お一人暮らしで将来に不安を感じている方に対して、アドバイスをいただけますか?

住環境を整えるほかに、何かあったときに早期発見をしてもらえるよう、生前対策をしておきましょう。日頃から誰かと連絡を取り合い、残された人への配慮として、エンディングノートを書いておくことをおすすめします。

お一人暮らしの方で相続人がいらっしゃる方なら、その方と連絡を取れる仕組みを作ること。コミュニケーションが日頃から取れている状態を保てば、孤立を防ぐことができます。

近年では、死後事務委任(委任者が亡くなった後に諸手続きや身辺整理などに関する死後事務を委任する)という契約を結ぶ人も増えつつあります。

死後事務委任契約を結んでおくことにより、自分の望んだ形で身辺整理を依頼することができます。この、死後事務委任の仕組みは、もっと広がるべきだと思います。

相続人がいない方も、お一人で悩まずに私たちに相談してください。お悩みの内容は多種多様ですが、それぞれ解決できない悩みはないと考えています。諦めずに、まずはご連絡いただけると幸いです。

相続人がいない方でも、死後事務委任契約という方法があるのですね。もっと広がれば、相談してみようと思う方はもっと増えるかもしれませんね。

本日は、ありがとうございました。

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