【セミナー講師インタビュー】海洋散骨を葬送文化として根付かせたい

ブルーオーシャンセレモニーの海洋散骨コーディネーター、畑山花朱美さん

これまで、日本では葬儀の後のご遺骨はお墓に納骨されていましたが、お墓に対する考え方が多様化する中、海洋散骨という新しい選択肢を選ぶ方も増えてきました。

同時に、墓じまいで海洋散骨をする、ペットと一緒に散骨するなど、海洋散骨の需要にも変化が生まれています。

ブルーオーシャンセレモニーの海洋散骨コーディネーター、畑山花朱美さんに、海洋散骨の今についてお話を伺いました。

目次

パウダー状になったご遺骨が海にふわっと広がる

最近、海洋散骨を希望する人も増えていると思いますが、ハウスボートクラブではどのくらいの件数を施行しているのでしょうか?

当社の場合、だいたい月に70組くらい散骨のご依頼をいただいています。

昨年はコロナの影響でご親戚が集まることができず、海洋散骨を希望していても断念された方もいらっしゃいましたが、コロナの話題が少し落ち着いた今、改めて「海洋散骨をしよう」という方もいらっしゃいます。

お葬式はお亡くなりになったら数日以内に必ずしなければなりませんが、散骨はいつまでにしなければならないというものではありませんから。

海洋散骨は、どのような流れで行うのでしょう

ご相談を受けたらまず、生前のご相談か、すでにご遺骨がお手元にあるのか?を確認させていただきます。

「すでにご遺骨がある」という場合、次にどのエリアで散骨を希望しているのか、ご遺族が船に乗るか乗らないかなど、散骨についてのご希望を伺います。

ご自宅の近くが良いのか?故人様の出身地が良いのか?それとも故人様との想い出の場所が良いのか?船酔いしやすい方だったらあまり揺れない海を探したり、条件に合わせて場所を決めていきます。

こうしてプランと場所が決まったら、次は日程です。そこまで決まったら、次はご遺骨をお預かりして、粉骨し、パウダー状にし、乗船日になったら散骨をするという流れです。

ご遺骨は、ご遺族にお持ちいただくこともあれば、私たちが受け取りに行くこともあります。

遺骨はパウダー状に加工しなければならないのですか?

一般社団法人海洋散骨協会のガイドラインでは、「海洋散骨を実施するにあたり、遺骨を遺骨と分からない程度(1mm〜2mm程度)に粉末化しなければならない」と定めています。

ほかの方への配慮という面もありますが、細かくパウダー状にしたほうが、散骨する時にもふわっと広がってきれいです。

それこそ沖縄とか南の海で散骨するときには、海に広がった時にキラキラとすごくきれいなので、「細かくしたほうが良いですよ」っておすすめします。

散骨する時はどのようにまくのでしょう?

ご遺骨を乗船する方の人数分に分けて、水に溶ける紙の袋に入れてご用意します。

ご遺骨をまくときには、袋の口を切って、そこからさらさらとまいて、最後は袋をそのまま海にまいていただきます。

よく海外のドラマなどでは、ご遺骨を素手でつかんでまくシーンもあったり、お客様もそういうイメージでいらっしゃる方も多いです。でも、素手でつかむとパウダーが手についてあまりきれいにまけないんです。

また、風が強かったり、船の高さによっては、袋から出すと飛んで行ってしまうこともあるので、そのような場合は、袋を開けずに袋のまま海にまいていただきます。

船が苦手という方やご高齢で船に乗るのが負担という場合は?

ご遺族が乗船を希望されない場合は、お預かりしたご遺骨を私たちで散骨します。

乗船されなくても、散骨する場所は選べます。ただ、散骨の日程はあらかじめ決まっているので、最短のお日にちをお伝えし、ご遺骨をお預かりします。

ペットと一緒に散骨したいという希望も叶える

海洋散骨をした後、仏式だったら例えば四十九日法要など、その後の供養はどうなるのでしょうか?

散骨後の供養に関しては、主に手元供養とメモリアルクルーズの2つがあります。

メモリアルクルーズというのは、散骨した所に船で行ってお花をお供えしたりするクルーズです。海のお墓参りみたいな感じですね。

気軽にお参りしていただけるように乗合の船を毎月出してるので、リピーターも大勢いらっしゃいます。予約だけしていただければ、当日チケットを購入して乗っていただけるので、気軽に利用していただけます。

毎年1回、命日の月に乗ってくださる方とかもいらっしゃいます。また、ご遺族たちも境遇の似ている方が乗船するので、船の上でほかのご遺族と友だちになって、毎月一緒に乗るという方もいらっしゃいます。

ただお墓参りに行くだけじゃなくて、クルーズという楽しみもあると思います。

いろいろなことができるんですね。ペットと一緒に入れるお墓も最近ありますが、ペットと一緒の海洋散骨というのもできますか?

はい。そういうご希望にも対応しています。

合同散骨の場合は、ほかのご家族のお考えもあるので、ペットの散骨もできる日と、できない日で分けていますが、チャーター散骨の場合はご希望に合わせてペットのご遺骨と一緒に散骨することも可能です。

費用もかかりますので、ペットのご遺骨だけを散骨したいというご希望はあまりありませんが、飼い主の方がお亡くなりになったタイミングで、ペットのご遺骨と一緒に散骨したいという申し込みは結構あります。

先日は、亡くなったお母さまと、お母さまがかわいがっていらした猫ちゃんのご遺骨を一緒に散骨して欲しいといったご依頼もありました。

本人の意思だと分かるものを残しておくとトラブルも防げる

本人が散骨を希望しているのにご家族が反対することはあるんですか? 

海洋散骨はまだ新しいお別れなので、反対する人もまだまだいらっしゃいます。トラブルを防ぐためには、「ご本人の意思なんだ」と分かるものを残しておいたほうが安心だと思います。

お子さんが何人かいらして、この人は聞いてたけどこの人は聞いてないといったこともあります。そうすると「俺はそんなこと聞いてない」ともめてしまう。 

以前、こうしたトラブルがあったときに、ご本人様が健在のときに当社に問い合わせをされていて、その履歴が残っていたので、ご家族の意見がまとまったというケースもありました。

また、ご家族やご親族の同意が得られず、散骨だけでなく、お墓にも納骨するという方もいらっしゃいます。

よくあるのは故人様の親御さんが、お墓への納骨を強く希望するというケースです。

ご夫婦のうちお一人が亡くなって海洋散骨を希望されるのですが、故人様の親がまだご健在で、「どうしてもお墓に入れたい」と希望されるのです。

このようなケースでは、ご遺骨すべてを散骨するのではなく、例えば故人様の希望を叶えるために半分は散骨するけれど、もう半分は納骨するとか。分骨して少量だけ海にまくといったことになります。

終活をして「自分はこうして欲しい」という希望をもっと言って欲しい

墓じまいと海洋散骨は相性が良いと伺いました

散骨が絶対に良いというよりは、いろいろなことをきちんと考えるきっかけになって欲しいと思っています。

墓じまいをしても、ほとんどの場合、再びお墓を購入して元のお墓にあった遺骨を納骨することになるでしょう。

でも本当は、ご遺骨の一部だけ手元供養にして散骨したほうが、故人様をより身近に感じられるという方もいらっしゃるかもしれません。

絶対にお墓を選ばなければならないというのではなく、どうしたら故人様に毎日手を合わせたり、大切な方を毎日思い出してあげられるのかと考えたときに、お墓以外の選択肢もあるということを、お伝えしたいと思ってます。

今後、海洋散骨はどのように発展していくとお考えですか?

海洋散骨そのものは、年々、ご希望される方も増えてきているという実感があります。今のライフスタイルにも合っていて、これからもこの傾向は続くでしょう。

その中で、やはり広げていくなら、ただお骨を供養するのではなく、「なんで供養するのか?」という考え方も一緒に広げていきたいと思っています。

今、お葬式も簡素になっていますし、世間の人からすれば散骨も火葬式と同じように、費用をかけずに簡単にというイメージかもしれません。そうではなく「なぜ散骨を選ぶのか?」ということをしっかり考えていただけるように、供養の意味などについても伝えていけるようになりたいと思います。

そうすることで、今後、海洋散骨が葬送の文化として根付いていくというのが理想です。

供養について、本人の希望を取り込めるというのは、今の時代の良いところだと思います。だからこそ、もっともっと終活をして、「自分はこうして欲しい」という希望をもっと言って欲しいです。

お墓じまいなど「子どもに迷惑かけちゃいけない」って皆さんおっしゃいますが、お子さんにとっては、そんなふうに「負担だって思ってる」と思われるほうが辛いのではないでしょうか?

お子さんのことが心配なら、「私はこうして欲しいんだよ」って伝えておけば、お子さまも悩まないですよね。「お母さんはどうして欲しかったんだろう?」って、後から悩むほうがきっと辛いのではないでしょうか?

そんなことを、気軽に話し合えるような世の中、環境になっていくと良いなと思います。

ありがとうございました

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