【セミナー講師インタビュー】「まだ捨てられない」は、まだ自分に向き合えていないから。片付けから始まる終活

株式会社Goodwaveで代表を務める、綾部奈美さん

「終活」と一口でいっても、どこから始めれば良いかわからないという方も多くいらっしゃるようです。その中で、誰でも簡単に始められる、終活の最初の一歩ともいえるのが、家のお片付けではないでしょうか?

「生前整理」というと大げさに聞こえてしまうかもしれませんが、たまった荷物を整理することで、部屋がきれいになるだけでなく、これからの人生に必要な物も見えてきます。

今回は、出張お片付けサービスの株式会社Goodwaveで代表を務める、綾部奈美さんに、「親子ではじめる実家のお片付け」をテーマに、片付けを上手に進めるコツなど、お話を伺いました。

目次

物を持っているほうが、もったいない

「実家の親がなかなか物を捨ててくれない」といったご相談は多いんですか?

多いですね。年齢が高い世代の皆さんは「もったいない」ということを教えられて育ってきた方々なので、やはり物を手放せない方は多くいらっしゃいますよね。

物があることが豊かさであり、ステータスだった時代がありました。そういう時代を生きてきた世代の方にとって、物を手放すというのは相当な苦痛を伴うものではないでしょうか?

物への思い入れってあると思います。心に何か引っかかりがあって手放せないという方も多いですね。だからそこをどうやって手放すのか?心の整理です。

とりあえず物を持っとく、とりあえず置いとく、置けるところがあるから置いとく。

それが良い悪いとかではなく、まだご自分にとって何が必要なのかが分かっていないという印象があります。

実際にこれからどういう人生にしていきたいのか?

そのためには自分にとって何が必要なのか?

そういうところを考えて心の整理をしていくと、徐々に「これは要らないな」「自分にとっては必要ないな」「誰も使わないな」って冷静に考えられるようになるのではないでしょうか。

まだ捨てられないということは、そこまで考えていない。ご自分に向き合っていないように思います。

自分にとって何が必要で何が不要かっていうのが分からないから、不安になって手放せなくなるということでしょうか。

そうですね。「いつか使うかもしれない」とか、「もったいない」で集めちゃう。でも使わないんだったら、むしろ「持っている方がもったいないんだよ」っていうことをお伝えしたいです。

持ってるほうがもったいないというのは、どういうことでしょう?

家のスペースを有効に利用できないというのももったいないですが、さらに物が増えるとトランクルームやサマリーポケットなど、収納サービスを利用しなければならないというケースにもなり得ます。確実にお金かかりますよね。

物がありすぎるデメリットは、経済的な面だけではありません。掃除が行き届かなくなったり。物がいっぱいあると空気の流れも悪くなりますよね。家の中をすっきりしておくことは気持ちの上でも大事だと思います。

これからの人生をもっとより良くしていくために物を整理する

高齢者のご家庭で、体調崩して救急車を呼んだ時に、物が多くて救急隊員が苦労するという話も伺います。

物が増えすぎてしまうと、どうしても床置きになってしまいます。

スペースにも限りがあるから、収納だけでは追いつかず、外に出てきてしまうんです。廊下とかに積みあがっている状態って防災の面からでも良くないですよね。

もしもの時だけでなく、普通の生活でも床に積んだ物を踏んで転んだり、事故につながる危険もあると思います。

物を捨てるのはもったいないことと育ってきた世代の方々に気持ちよく片付けていただくにはどうしたら良いですか?例えばそのきっかけの作り方とか。

生前整理って聞くとやはり死に向かうイメージが先行してしまうと思います。

そうではなく、これからの人生をもっとより良くしていくために、丁寧な暮らしのためにという部分にフォーカスすると良いのかなと思います。

「これを残されたら(後の人が)大変じゃない!」とか、今の自分がいない将来のことを言われても「なんでもう私が死ぬことを考えてるの!」ってなりませんか?

反対に、これからより楽しい人生を暮らしていくために「いる物を見直してスッキリしたら、何か新しいこと始めるきっかけにもなるんじゃない?」とか、前向きな声かけがあると良いのかなと思います。

また、具体的な例では、お子さんご自身が部屋の片づけをするという方法があります。

実家に自分の荷物を置きっぱなしにしているお子さんって結構多いんです。まだ学生の頃のまま、部屋が残ってるのってあるあるなんですね。

まずはそこから、お盆とかお正月で帰省された時に、さりげなく自分で片付け始めるとか。親たちが子どものしていることが気になって「何してるの?」って言ってもらえたら良いですよね。そこから「一緒に片付けよう」と、実家のお片付けスイッチが入ります。

物を溜めるって父親と母親、つまり男性・女性で違いはあるんでしょうか?

溜めてしまうという点では、どちらも一緒だと思います。

しかし、手放すという段階においては男性の方がすごい早いですね。もう割り切ってやります。「やるんだったらやるぞ!」ってなります。

反対に、女性は手放すことに抵抗がある方が多い気がします。「それ高かったのよね」とか「それはまだ使える」「私は使わない絵だけれど○○が使えるんじゃないかな」って。

具体的にはどのように片付けをすれば良いでしょう?

 家中を一気に片付けようとすると大変なので、簡単なステップとしては「今日は押入れの下の段」とか、とりあえず一部だけでも、片付ける場所を選んでから始めると良いと思います。

ポイントとしては、選んだ場所にある物は全部一度出すということです。

「今日はこの部分を片付けましょう」っていう時に、意外と皆さん物を全部は出さないんです。「全部出して」と言っても出しません。目の前にあるそこら辺の物をちょっと整理して終わるんです。

そうではなく、片付けると決めたら「全部出す」を守ってください。全部出してしまったら、もうやるしかないので、片付けます。

また、片付ける箇所を選ぶポイントとしては、普段動きがないところの方が良いですね。

中途半端に「ここ結構毎日使ってる」っていう箇所は、捨てる・捨てないの判断が難しい物もあるので、とっかかりとしては「もう何年もあそこの物は動かしてない」みたいなお部屋や場所から始めるのが良いと思います。

物が詰まっていてドアも開かないような部屋や、収納用品の中みたいなところをやっていただくとやりやすいのかなと思います。

なるほど。まずは場所の選定が大切なんですね。

その上で、「使ってる」「使ってない」で分けます。

「使ってる」という基準は直近1年間で、使ってるか使ってないかです。

それでも迷う物って絶対出てくると思います。1年使ってないけど、それでも迷う物は「保留ボックス」に入れることを提唱しています。

すぐに手放すのではなく、まずは保留ボックスに入れていただく。そして期限をつけます。半年後とか、1年後に見直した時に、そこのボックスの物を使ってなかったら、さすがに「もう使わない」って捨てる決心も付くのではないでしょうか。

家の規模にも依ると思いますが、片付けってどのくらいの時間がかかるものでしょうか?

要・不要の判断スピードと物の量によって変わります。

「要ります」「要りません」ってポンポン決められる人は速いですし、「これはあの時の……」って、判断するのが少し遅い人だと、それだけ時間がかかります。なので一概には言えないんです。

「遺品と向き合って、ゆっくり片付け」をお手伝いします

例えば、皆さんが一番迷う物って何なんでしょう?

圧倒的に洋服ですね。

洋服ですか?

はい、洋服は手放せない方が多いです。意外ですか?

私がそれほど着る物にこだわらないので、目からうろこが落ちました。

洋服は結構多いですね。

いつかまた着るっていう感じです。なので、最初に洋服を「着る」「着ない」で決められる人は、後もスムーズにいけちゃう気がします。

親御さんがたくさんの物を残して亡くなった場合、お子さんはどうすればいいですか?

遺品整理業者を利用されてる方が多いと思います。ただ、中には本当に何も見ないで全部持って行ってしまうところもあります。

急いで片付けなくてはならないとか、全部捨ててしまって構わないという方はそれで良いかもしれませんが、「ゆっくり遺品と向き合って片付けたい」という方は、私たちがお手伝いさせていただければと思います。

故人様の遺品をご家族と一緒に要・不要の判断をして、残す物は「どこに収納しましょう?」といったお話もできます。

最後に、親世代で「片付けが苦手」と悩んでいらっしゃる方に対してアドバイスはありますか?

お子様のいらっしゃらない方や、いらしても離れて暮らしていてご自身で片付けをしたいと考えていらっしゃる方ですね。

弊社をご利用いただければ、一緒に寄り添いながらお片付けのお手伝い、これからの人生がより良くなる終活のお手伝いをさせていただきます。

部屋の片付けの見積もりとかっていうのはどんな感じでされるんですか?

1時間5,000円という明朗会計です。

どれだけ時間がかかったかで変わりますので、一度に「全部片付けて」ではなく、例えば1日、5時間くらいで試しにご利用いただいて、気に入っていただけたらまた「じゃあこっちの部屋も……」というのをお勧めしています。

時間単位でますは試してみて、その時間でどのぐらい片付くかを判断して、その上でその先どうするかっていうのを決めていくっていうふうな感じです。

ありがとうございました。

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