【セミナー講師インタビュー】老人ホーム探しは“早め”がおすすめな理由。入居する施設によって、その先の人生が変わる!?

株式会社エイジプラス北野優

いつかは介護が必要になると漠然と不安を感じていても、元気なうちから老人ホーム探しをする人はなかなかいません。でも、実際に体調を崩してしまってからでは、短期間で希望の施設を見つけるのも至難の技です。

入居する施設によってその先の人生が決まると言っても過言ではありません。

今回は、これまで2万人近い方々から介護施設への入居相談を受けてきた「いい介護」入居相談室の室長・北野優さんに、介護施設を探すときのポイントや、早めに探した方が良い理由についてお話を伺いました。

目次

資産状況が分からないと、介護施設探しは始まらない

介護施設探しの相談でいちばん多いのはどんな相談でしょう?

お金の相談は多いですね。「親の年金の額が分からない」とか「資産状況が分からない」という方が圧倒的に多くて。

いざ介護施設を探す段階になって、そこでつまずいてしまって時間がかかるケースが結構ありますね。

親のお金が分からないということは、介護施設に入りたくても施設に入れないということですか?

老人ホームの費用は、親のお金を使うことを基本として考える方がほとんどです。なので、その年金額が分からない以上、「介護施設が探せない……」となってしまうんです。結構あるのが、親御さんが入院していて意識がない状態とか、認知症になって預貯金が引き出せないとか。

急に親の介護施設を探さなければならなくなって、蓋をあけてみたらお金の管理ができていなくて資産状況が全く分からない……。そんなケースが最も難しいのですが、事例としては多いですね。

親の財産が出せない、しかし介護施設は探さなくちゃいけないという場合、解決方法はあるのですか?

一番多いのは子どもが立て替えるケースです。

ただ、立て替えるとなっても、お子さんにもご自分の生活もあるから大変です。普通にかかる生活費にプラスで毎月約20万の出費になるわけですから。いずれ返ってくる費用とはいえ、「極力安いところ」という希望になりますね。

「いずれ返ってくる」というのは親の資産からですか?

そうです。けれど、そこで兄弟姉妹で揉めてしまったりといったことも、本当によくあります。

だからこそ、資産についてはご家族間で認識を共有できてないと、いざという時にとんでもないことになってしまいます。年金はいくら貰ってるかとかも含めてです。

ご家族がいらっしゃらない場合はどうなるのでしょう?

お子さんがいらっしゃらない、全く身寄りがないという方については、役所やケアマネージャーさんがサポートしますが、資金的に難しいケースも多いです。

この場合、社会的入所となります。民間の老人ホームだと難しいので、公的な老人ホームで最小限に値段を落とす。極端な例ですが、実際にあります。

おひとり世帯が増え、今後ますます問題になってくるのではという懸念はあります。だからこそ、元気なうちに自分の入りたい施設は自分で探して欲しいです。

大切なのは、家族との意思の疎通と情報の共有

「自分で探す」場合、どこまでやっておけば大丈夫でしょう?

ご家族がいる場合は、「ここに入りたい」という意思表示です。

大切なのは、ご家族との意思の疎通と情報の共有です。

「財産がここにこれくらいあるから、この施設に入りたい」とは言いにくいとは思いますが、ご家族に迷惑をかけないためには、共有しておいた方が良いです。

施設を探すことに抵抗があるという方も多いですが、僕はそんなことないと思っています。入りたくても入れない人がいっぱいいる中で、逆に羨ましいぐらいなんです。

介護施設の相談をされる方は、本人とお子さんだとどちらが多いですか?

要介護の高齢者の入居相談はさすがにご家族からの相談がほとんどですが、お元気な方の場合は、ご本人が圧倒的に多いです。本人は施設に入りたいのに、お子さんに言ったら反対されたというケースもあります。

お子さんが反対する理由は何でしょう?

多いのが、「まだ早い」「まだ元気だから」っていう漠然とした感情です。それこそ介護施設に対する認識が薄いというか、老人ホームは姥捨山だとか、寝たきりの人が入るっていうイメージがあるようです。

元気な方が入る老人ホームもいっぱいあるのに、お子さんが反対して入居を諦める方も多いです。

お子さんが親を施設に入れたくないというのはイメージが良くないからということですか?

それもありますし、お金のこともあるでしょうね。施設入居の費用は、自宅で生活していればかからない費用ですから。

例えば家を売って得たお金を老人ホームの入居費用に充てるとすれば、そのことに対して抵抗がある方も多いです。

嫌な言い方をすれば、もし施設に入らずにそのまま家で亡くなったら、その家は遺産として入ってくるわけです。本人が真剣に探してようやく「ここに入りたい」という施設が見つかって、お子さんに保証人をお願いしたら、そこで反対されるというのもよくある話です。特にお元気なうちから入る老人ホームは、そういうトラブルが多いですね。

親の立場としては、お子さんに施設を探しているって言いづらいのでしょうか?

やはり「老人ホーム」という言葉が、どうしてもネガティブなイメージになってしまっているので、探している方も後ろめたさがあるようです。

老人ホーム探しはネット上の口コミや見た目の情報だけに惑わされてはいけない

介護施設に関する相談を10年間受けてきて、変わってきてると感じることはありますか?

元気な方からの相談が増えました。特にかなりご高齢の元気な人からのご相談です。あとやはりネットの情報です。

探す方も、あらかじめ知識があります。ただ、その知識の付き方が偏っているというか、情報が先行し過ぎている点も否めません。もちろん知識があるのは良いことでもあるんですが、ネットの情報だけにとらわれてしまうと、もったいないと感じます。

間違った内容で覚えている方も多く、そうした情報を鵜呑みにして「この種類の施設は探さない」となったり。現地を実際にご自分の目で見学するべきなのに、最初から選ぶ施設の幅が狭まっちゃうんです。

ネット上にいろいろ情報はありますが、特に老人ホームは口コミや見た目の情報だけに惑わされてはいけないと思っています。

一度決めてしまっても、もちろん後から移ることはできますが、無傷で後戻りはできません。気持ちの面だけでなく、お金の面でも負担がない訳ではありません。短期間とはいえ施設の費用負担もあるわけですから。

入居後に、施設を変える方は結構いらっしゃるんですか?

この10年で一番大きな変化かもしれません。背景として、施設が増えて選択肢が増えたという面もあります。

また、施設に入っていたけれど、体調を崩して病院に入院してしまい、退院しても、もともと暮らしていた施設には受け入れてもらえないという相談も増えましたね。

その場合、自宅に帰ることになるのでしょうか?

そもそも自宅には帰れない状態だから施設に入った訳ですから。別の病院にもう一度入院して、その間に探すというケースが多いですね。

病院に入院中の方からの相談も増えました。「老人ホームから急に出て行ってくれと言われた」というのもよくある話で、「退院はいつですか?」と尋ねると「もう1週間ない」なんてこともあります。

老人ホームって、申し込んだからといってすぐ入れるわけではないんですよね。いろいろ手続きもありますから。

介護施設探しをきちんとアテンドする人が1人いれば、「役所に行ってください」から始まり、「こういう手続きしてください」「見学を申し込んでください」と短時間で探すことも可能ですが、一から調べるとなるとご家族も大変です。

見学だけでも良い。「どんな施設があるのか?」ってことだけでも、知っておくべき

良い老人ホームかどうか、見極める方法はあるのでしょうか?

ご自分で見学に行ってみて、活気があるかないかなど雰囲気を感じ取るところからはじめてみたら良いかと思います。私の経験上、朝の11時くらいが一番活気のある時間なので、その時間帯に行ってみるとかもおすすめです。

また、臭いにも気を付けると良いと思います。

介護の現場ですから、オムツもすごい量になります。各ホームさんも工夫をされているので、汚物処理室や消臭装置等できっちり処理していれば臭いが漏れることはありません。しかし、ちゃんと処理しないと臭いが充満してしまいます。私も経験がありますが、職員は慣れてしまって臭いに気付けないんです。

お掃除が行き届いているかどうかも大事ですね。玄関の掃除ができてないとか、靴がぐちゃぐちゃになってる老人ホームもおすすめしません。

細かいことを言うようですが、こういう些細なことが全体にも影響が出ますから。

やはり入るなら、良い施設に入りたいですね。

入居する施設によって、その先の人生が変わると言っても過言ではありません。入居先のご入居者の方との相性は、今まで暮らしてきた状況も大事です。

ずっと慎ましやかな生活してた人が、いきなりデラックスな老人ホームに入っても、周囲の人と会話は噛み合わないですね。逆も然りです。元気な頃の生活は、入居後の生活にも全部紐づいてきます。

体験入居なども利用しながら、施設との相性も調べていくとなると、やっぱり早めに準備を始めないと間に合いませんね。

早めにやっておいて損はないですよね。見学だけして結果的に入らなくても、僕は全然良いと思っています。「どんな施設があるのか?」ってことだけでも、知っておくと良いでしょう。

ありがとうございました。

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