精進料理の記事を書く前に、まずはご挨拶をかねて、精進についてお話いたします。いろいろと決まりごとがあるのですが、簡単に言うと「野菜料理」です。
肉と魚を使わない。そして、食材を無駄にしない。以上!
これだけ守ればOK。
あとは、その都度、皆様にお教えいたします。さすがに最初からすべてお話したら、数回で終わってしまいます。料理だけに「ネタは小刻みに」出させていただきます。
まず第一回は基本の「出汁」がスタートだと思います。基本無くして精進を語るはその道にあらず。
昆布出汁(精進出汁)の作り方
- 固く絞った布巾で昆布の表面を拭き、汚れを落とす
- 水を入れた鍋に昆布を入れ弱火にかける
- 鍋肌に小さな気泡が立ち始めたら要注意
- 沸騰する前に火を止め、昆布を取り出す
写真で見るとこんな感じ
お出汁の完成です。
すべての料理は出汁で決まる
お出汁ですが、すべての料理の基本です。
また、出汁が効いていないと、全く美味しくありません。
お母さんが留守の際、お父さんがご飯を作ってくれた思い出がありませんか?
「お味噌汁が美味しくない……」そんな経験、あるでしょう?
なぜか?
説明しましょう。
出汁を忘れているからです。
普段料理をしないから知らないんです。
「味噌汁なんて豆腐とワカメ入れて味噌といたらできるやん!」なんて思ってるからダメ。シマヤ出汁の素さえ入れてれば、美味しく完成していたはずです。そしてお父さんの株も上がっていたはずです。
話はズレましたが、すべての料理は出汁で決まります。
中華は鶏ガラ、洋食はフォンドボーです。ラーメンだって鶏ガラ、昆布、豚骨、野菜、秘伝の何かで出汁を作り、醤油のかえしで整える。
やっぱり、出汁が大切ですね。
でも、毎回お出汁を取るのって大変ですよね。その際は、少し多めに作って冷蔵庫で保管して下さい。ペットボトルでもお茶を冷やす容器でもOKです。
保存するための科学調味料が入っていないので4〜5日程で使い切って下さいね。
時短簡単お出汁の取り方
本格的に出汁を取る時間の無い方は、時短簡単方法を。
- 2リットルのペットボトルを用意し中を洗浄
- 昆布を簡単に洗う
- ペットボトルに入るように昆布をカット
- ペットボトルに昆布と水を入れる
- 冷蔵庫で一晩保存
- 完成(そのままお鍋に注げます)
写真で見るとこんな感じ
②昆布を簡単に洗う
④ペットボトルに昆布を入れる
ペットボトルは、リサイクルする為に昆布は取り除き洗浄をお忘れなく。実は、昆布はペットボトルの中で大きくなり、口から出なくなります。取り出すためには切るしかない……。
身近な物で考え保存の事からペットボトルを選びましたが、お茶を冷やす容器の方が、何度も使えて洗うのも簡単です。
ただし、重要な事をお忘れなく!容器に「出汁」と、必ず書いて下さいね。うちの家族はお茶と間違って飲みました。そして、書いていない私が怒られました。
「普通、色見たら分かるやん!」って思ったのですが、言うともっと怒られるので止めました……。
調理した人以外は、お茶の容器に出汁が入ってるなんて思わないものです。
(^_-)-☆
最初なので自己紹介
海蔵寺 住職 天野祐至(あまのゆうじ)です。
昭和51年2月11日生まれ、現在47歳。家族は、妻と娘2人と犬(クルトン13歳・甲斐犬)。京都府与謝郡伊根町のお寺の住職を平成16年から勤めております。
魚釣りから料理が遊びだった幼少期
海のそばのお寺の次男坊として生まれ、子どものころは魚釣りが遊びのひとつでした。
釣って帰って調理が普通。
私は手間を考え、釣ってその場で調理。帰宅して直ぐ食卓へ!これが我が家の魚釣りの過程でした。なので、小学生の時には、小魚からブリまでどんな魚も調理できました。
高校を卒業後、大阪の専門学校に進学。2年間居酒屋でアルバイトをし、居酒屋メニューのすべてをマスターし、ほぼ店長の地位を獲得。
卒業後、地方の専門僧堂に修行へ行くも、毎日、掃除、調理、法事、のすべてをこなし、2年間を全う。実家のお寺に帰り住職の補佐をするが、田舎のお寺はやる事がない!
毎日掃除してたら、草が無くなる……。生えて来るのを待つ生活。
こんなの楽しくないし、暇なので、知り合いの世話で、土建屋のアルバイトに行くことに。1年間ダンプを運転、型枠を組んでコンクリート工事、技術をマスターしたので、今はお寺の境内整備にその技術が役立っております。
大きなお寺でお手伝い。1週間ほどのつもりが6年も
そんな私を見ていた師匠が「お盆の手伝いに大阪のお寺に行け」と言いました。
1週間程の手伝いで大阪へ。盆が終わって帰ろうとすると、その寺の御住職からもっと手伝って欲しいと言われ、簡単に返答、ちょっとのはずが6年間。毎日お寺のお参りをし、檀家宅を回る生活。毎日充実しておりました。
大きなお寺で観光名所、「住職を譲る」と言われたが、海の見える生活がしたくなっている時期だった(たまに故郷が恋しくなる)ので、スパーっとお断り!今はその寺、息子が後を継いでます。後見人として出入りしてますけどね。
6年も居たら、住職は師匠みたいなものだし、私の性格からして、毎日住職の奥様と娘と台所で調理して、ご飯を食べてました。もう家族の一員でした。今でもLINEしたりしてます。
荒れ果てたお寺、海蔵寺を15年かけて桜で有名なお寺へ
平成16年に今のお寺、海蔵寺に来ました。私が来るまで無住のお寺、玄関の戸は片手で開かない程歪んで重く、寺は老朽しておりました。
住職は住むのが仕事。
毎日清掃し「お寺はキレイが一番」と言い続けております。
お寺の境内に150年の古木の桜が一本。これを桜の季節が来たらライトアップ。15年前はLEDライトが1つ5万円しました。これを3つ購入して、始めました。
15年の間にインスタ、Facebookなど多くの方の協力(と思ってるけど)により、全国に発信。今や、多くの雑誌やTVなどで取り上げられ「舟屋の一本桜」なんて言われてます。桜で有名なお寺にしました。
これで、知名度をあげ、次は、お寺に来てもらうために、策を考え「お寺で精進料理」を提供し始めました。
写経や坐禅では人は来ません。少し話題や目立つ事が肝心。
1年間で、500~800人程が来られました。
5年程で、「精進料理が食べれるお寺」として有名になり、テレビの旅番組で取材されました。そんでまたまた有名に。集大成とした、このお寺で宿坊を始めたく3年前から下準備。
檀家を説得し各種資格を取得。2年前から宿坊を運営しております。
清掃はプロです。
高校生の夏、天の橋立のホテルでバイトした経験と、宿坊を始めるに、お宿の清掃のアルバイトに行き技を習得。もともとお寺の掃除のプロです。私には簡単な事でした。
うちの宿坊の清掃も住職が担当しております。「髪の毛一本落ちていない清掃」を目指しています。住職はスキンヘッドなので(^_-)-☆
毎日、精進料理の夕食と朝食も作っております。
普段から調理は大好きです。作るの大好き、食べるの嫌い 食べ放題って言葉は嫌いですし、そんなお店は行きません。普通が一番で、そんな欲はありません。