精進料理の基本の中に、五葷(ごくん)という言葉があります。精進料理を作るにあたって大変重要なことです。
今回は、この基本についてご説明いたします。
精進料理に使ってはいけない5つの野菜
お寺には、山門に「不許葷酒入山門」と書かれた石柱が建っています。これは「くんしゅさんもんをいるをえず」と読みます。
簡単に言えば、この門から葷(くん)と酒は入るなってことです。葷というのは臭いの強い野菜、辛い野菜です。
肉や魚は当然ですが、実は、酒や葷もダメなんです。
五葷というのは、5つの葷、5つの野菜のことです。
この5つの野菜というのは、ネギ(葱)、アサツキ(浅葱)、ニラ(韮)、ニンニク(大蒜)、ノビル(野蒜)です。
ご存じなかったでしょう?
野菜なら何でもOKって思っていたでしょう?
実は、違ったのです。
五葷を精進料理に使ってはいけない理由
この、5つの野菜は、精進料理に使ってはいけない理由があります。
それは、修行の妨げになる食材だからなんです。
何故??
って思うでしょう。
この5つの野菜を食べると色欲や怒りが刺激され、修行の妨げになるとして避けられました。
欲望を捨て去るのが仏道の根本なので、欲望を刺激する必要はありません。そのため、わざわざ刺激を与える食材を食すことはしません。
また、これらは極めて臭気が強く修行の妨げになる。
って、理由です。
つまり、精進料理は、「肉、魚、五葷、酒、卵を使わない料理」ってことになる訳です。
ベジタリアンの方の中にも、この食材を食べない方がいます。
それはまた、違う理由があります。
五葷は本来人間が持っている「気」を壊す食材とされています。
ネギ、玉ネギは腎臓、アサツキは肺臓、ニラは肝臓、ニンニクは心臓、ノビルは膵臓の気に影響を与えるといわれています。
ですので、これらは食されません。
マヨネーズはグレーゾーン?
マヨネーズってありますよね?
知らない人はいないと思いますが。
あれも、精進の世界では、✕ではありませんが、グレーなゾーンです。なので、使いません。
私が修行時代に「ポテトサラダ」を作って出したことがあります。
その場では、先輩僧侶や、お偉い僧侶の方々が食べていましたが、3~4日して、住職の部屋に呼び出され、こう言われました。
「あれは無しだ」
話を聞くと、3日悩んだそうです。いろいろな書物を見て、ほかの住職に聞いて、判断されたそうです。
今後の私のことを考え、「疑わしきは使うな」と判断されました。
今でもその教えは守って、私は精進料理にマヨネーズは使いません。使っている人もいますが、正式な場所では使いませんね。
なお、この御住職は、横浜にある曹洞宗大本山總持寺でも、とても位の高い方でした。
味噌汁は精進料理?
皆様、仏壇の霊前って盛り付けたことありますか?
田舎で法事の際に、黒いお膳に食事が盛り付けて置いてありませんか?
あれも、精進料理なんですよ。
肉魚は入ってません。
でもね、間違ってる箇所があるんですよ。
煮物、和え物は〇。
答えは味噌汁なんです。
「味噌に出汁が……」なんて細かいことじゃ無くて、豆腐、ワカメ、ネギ……。
そうです。この色どりに入れられてる「ネギ」がアウト!!
田舎の母親に教えてあげてくださいね。
今回は、全く写真がなく、調理もしてませんが、大切なことなので書かせていただきました。
三心(さんしん)の心を持って皆様も精進料理やってみてください。
追伸 三心とは
三心(さんしん)
- 貴心(きしん) ― 他者の為に喜んで成す事を、自己の修行とする
- 老心(ろうしん)― 慈しみ深く見守り続け奉仕する
- 大心(だいしん)― どっしりと構えて、何にも惑わされる事無く、囚われない